御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
他の惣菜もひと口ずつ味わうとどれも優しい味がして、宏斗の健康を気遣う彼女の温かさに頬が緩んだ。
俵型のおにぎりは五つとも中の具材が違い、喜んでほしいという気持ちも伝わってきた。
心のこもった美味しい弁当を米のひと粒も残さず食べ終えると、天井に向けて長い息を吐いた。
(これはすごいな。かなり癒された)
久しぶりにプールで泳いだ時のようなリフレッシュ感がある。
メルヘン思考は持ち合わせていないが、魔法でもかけられていたのではないかと思って笑ってしまった。
(渚ちゃんの気持ちが嬉しいからだな。可愛すぎるだろ)
その時、ドアがノックされた。
「どうぞ」
担当秘書かと思ったが、別の男性秘書だ。
「失礼いたします」と畏まっているが、ドアが閉まった途端に口調と態度を崩される。
「なに食ってんの?」
近づいてきた彼に、いつもの仕出し弁当ではないのを目ざとく見つけられた。
「ふた開けて見せろよ」
「もう食べ終わった」
「恋人の手作りか?」
ニヤニヤしながら聞いてくるのは猿渡(さわたり)。同じ年齢の大学時代からの友人で、同期入社の関係でもある。