御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
女性としての魅力不足を痛感して悲しくなったが、落ち込んでは失礼だと自分に言い聞かせる。

(偽物夫婦なのにデートまでしてくれるのは宏斗さんの優しさだよ。疲れているのに私を楽しませようとしてくれて、感謝して家に着くまで笑顔でいないと)

まだ日暮れ前で空は明るいが、時刻は夕方だ。

たっぷり遊んだので今度こそ帰ろうと言われると思っていたのに、彼のデートプランは続きがあるようだ。

「食事をして帰ろう。友人が経営してる美味しい店があるんだ。さっき連絡したら席をリザーブしておくと言ってくれた。そこでいい?」

「はい、もちろんです」

友人の店という親しみのある響きから想像したのは、こじんまりとした小料理屋だ。

常連客や友人に支えられているアットホームな店が頭に浮かぶ。

宏斗がタクシーを呼んでくれて、後部シートに並んで座った。

その店に今から行くと思っていたのだが、二十分ほど走って彼がタクシーを止めた場所はなぜか老舗デパートの前だった。

「ちょっと買い物につき合って」

「は、はい」

宏斗が迷うことなく一階のテナントに入っていく。

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