あなたに伝えたくて
彼に先に言われてしまったではないか!

「あのね⋯⋯」

先を越されたとはいえ、やはり、今日こそ伝えなければ。

「どうした?」

相変わらず、優しい眼差し、優しい声。

「私ね⋯⋯」

「うん」

どうしよう⋯⋯本当に全く、素敵な告白の言葉が、何一つ浮かばない⋯⋯。

「その⋯⋯私、前から言いたかったんだけど」

「うん」

「私⋯⋯あなたのことが好きなの」

そう言うと、彼はポカンとしている。

「ほら、一度もちゃんと言ったことなかったから。今さらだけど、どうしても伝えたくて⋯⋯それで⋯⋯」

ちゃんと言い終わる前に、強い力で引き寄せられ、彼の腕のなかに居た。

「く、苦しい⋯⋯」

あまりにも強く抱き締められたので、そう訴えると、

「あ、ごめんごめん!」

力が緩められ、互いに見つめ合った。

「俺、君に何かして欲しいとか、言って欲しいとか、そういうのは望んでなかったけど⋯⋯こうして言われると、やっぱり、グッとくるよ」
< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop