泡のような世界で君と恋をする
「でも、覚えておいて」

 静かな声で。

「君は、もう人の世界には戻れない」

 その言葉に、胸の奥がずきりと痛んだ。

 人間界。
 帰る場所。

 ――本当に、あっただろうか。

 思い浮かべようとして、何も浮かばない。

 家の記憶も、誰かの顔も、ぼんやりしている。
 大切だったはずなのに、手応えがない。
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