初恋の君は、闇を抱く。
帰ると言った凪に、正直ほっとした。
今の俺の顔を見られたくない。
俺は立ち上がって、凪から一歩距離を取った。
「気を付けて帰れよ」
そう言うと、凪は笑顔で手を振った。
――もうここへは来るな。
心の中で、
そう呟いた。
凪を見送った直後、
周りの音が一気に戻ってきた。
「イブー!やっと戻ってきた!」
「なぁ、ちょっと揉めててさ」
「今日どっか行かね?」
声が重なる。
いつも通りのゼロ番。
俺は軽く手を上げて応じながら、
無意識にさっき凪が座っていた場所を見た。
……俺、あいつのこと相当気にしてんだな。
凪の笑顔が、やけに頭に残って離れなかった。
自分でも可笑しくなる。
「イブ、聞いてる?」
「あ?あぁ、悪い」
「しかめっつらもかっこいいけどねぇ~」