初恋の君は、闇を抱く。
ぎらぎらした長い爪が俺の頬を撫でる。
「やめろよ、モカ」
「なぁんで?うちらの仲じゃん」
モカは前に一度関係を持った子だ。
あの時俺は薬でとんでて。
彼氏に〝デブス〟だとフラれ、ひどく落ち込んでるのを慰めてたらいつの間にか。
「酔っぱらってるだろ」
「すこーしねぇ!イブがここに戻ってきたのが嬉しくてさー」
俺の腰に腕を回してきたモカ。
顔を俺の胸元に埋めてきた。
周りの視線が気になる。
「モカ……俺、もうそういうのやめてる」
「えー?」
「やりたいなら他当たって」
酷い言い方だとわかってる。
でもモカはあの日から何度も俺をこんな風に求めてくる。
関係を持ったのはあの日だけだけど。
俺は後悔していた。
薬なんてやるもんじゃねぇ。
本当に……良い事なんてひとつもない。
周りは、俺がここにいるだけで安心するなんて言ってくれる。
ヒーロー扱いだ。
でも……。
本当の俺は汚いゴミ野郎で。
誰よりも醜い。
こんな俺を、凪には見せたくねえんだよ。