初恋の君は、闇を抱く。
Episode,2
揺れるゼロ番
――Nagi Side――
最近、ゼロ番の空気が少しだけ変わった。
理由はわからないのに、視線だけ増えた。
目が合うと逸らされて、でもひそひそ声は止まらない。
「……気のせい、だよね」
自分にそう言い聞かせて、いつもの場所に座った。
「ねぇ」
不意に掛けられた声に顔を上げる。
そこに立っていたのは、長い爪に派手なメイクの女の子。
「……凪、だっけ?」
どうして名前知ってるんだろう、と思いながら頷く。
「私はモカ。たまーにここに来てるけど話すの初だよね?」
にこっと笑うその顔は綺麗だったけど、どこか探るような目をしていた。
「最近さ、よくイブと話してるよね?」
胸が小さく跳ねる。
〝よく〟なんて話していない。
この前缶コーヒーを一緒に飲んでから、ほぼ会うこともなくて。
「……少しだけ」
そう答えると、モカは
「あー、やっぱり」
と納得したように頷いた。