初恋の君は、闇を抱く。
「優しいでしょ、あの人」
「……うん」
「私もさ、前に慰めてもらったことあって」
その言葉が、胸の奥に小さな棘みたいに刺さった。
「その時付き合ってた彼氏にひどい事言われて、泣いてた時。優しく抱きしめてくれて……」
なんだか聞きたくなくて目を逸らした。
周りの子たちも、それを聞いてちらちらこっちを見る。
「だからさ、勘違いしない方がいいよ?」
声は柔らかいのに、言葉だけが冷たい。
「イブって、誰にでも優しいから」
……そんなこと言われなくてもわかってる。
なのに、ぎゅっと胸が苦しくなるのはなんなんだろう。
「それに」
モカは一歩近づいてきて、
私の耳元で小さく囁いた。
「最近、〝イブのお気に入り〟って噂になってるよ」
頭が真っ白になる。
お気に入り?
そんなの違う。
「私はそんなんじゃ……」
何か言おうとした瞬間。
「……その辺にしとけ」
背後から聞こえた低い声によって、
空気が一気に変わった。