初恋の君は、闇を抱く。
イブが何もしない人を嫌うようには見えない。
そう思った瞬間、三上は少し困ったように笑った。
「……凪ってさ、イブのことかなり信用してるんだね」
「え……」
「いや、悪い意味じゃないよ」
三上は慌てて手を振る。
「ちゃんと人を見る目あるなって思っただけ」
その言い方に、少しだけ肩の力が抜ける。
「イブは全部背負おうとするタイプだからなぁ」
「……それって、」
「俺は逆だよ?」
少し自嘲気味に言った。
「背負うなんてことできないし、正解も言えない。隣に座るくらいしかできない」
……それでいいのに。
と思ってしまった自分に驚く。
「だから凪がここにいる理由も、ゼロ番に行く理由も無理に話すことはない。いつか話したいって思ってくれたらその時はちゃんと聞くから」
「……はい」
なんだろう、この人に思わず言ってしまいそうになった。
〝寂しい〟って。
でもそれを言ったら何かが変わってしまう気がして。
私と三上は大通りで分かれた。
信号待ちの向こうで、三上がまだこっちを見ている気がして、振り返らないまま歩いた。