初恋の君は、闇を抱く。
凪は何も言わなかった。
ただ、俺の服の袖を掴んだまま動かなかった。
〝うぜぇ〟なんて1ミリも思ってない。
嘘だって今すぐ言いたい。
でも……俺はまだ全然子供で。
こんなんじゃ凪を守れないって気付いたんだ。
今はこうするしかなかった。
凪の中に俺がずっといて、悲しませるくらいなら早く忘れてほしいから……。
「ひどいよ……」
「わかったならもう行くから」
凪の顔は見れなかった。
きっと泣いてる。
でも、もうそばにいれないし何もしてやれない。
――俺がもう少し利口でうまく里親と過ごしてたら
凪とずっと一緒にいれたのかもしれねぇな。
その後中学に入ってすぐ同じ匂いがするやつと出会い、俺は学校に行かなくなった。
施設に帰るのは、風呂入って着替える程度。
何も考えたくないし、何のために生きてるのかわからなくて。
そんな同じ考えの奴らの行き場としてこのゼロ番を作った。
ここにいれば気持ちを共有できるし、少し気が紛れた。
でも時々凪の事を思い出しては空を見上げていた。
泣いてなきゃいいなって。
そう、思っていた。
なのに、この場所でまた
凪に会うことになるなんて。