闇底の純愛
電気を消して、布団に入る。
それから、隣で横になっている京に声をかけた。
「京。明日休みだから、私起きるの9時頃になると思う。起こさないでね。朝ごはんも作らなくて大丈夫だから。」
「……ん...」
「京?聞いてる?」
「……」
ほぼ唸り声みたいな声に不安になって問い返すと、返事の変わりに寝息が聞こえてきた。
「……はぁ」
話しかけることを諦めてため息をつき、私も目を瞑る。
けれど、なかなか眠くならなくて、もう一度目を開けた。
京は私の方を向いて眠っている。
仰向けのまま、そっと顔だけ動かして、京の方を見る。
あどけない寝顔。
無駄に整ったその顔は、眠っていても、何をしても絵になっていた。
まぶたを縁取る長いまつ毛が、呼吸に合わせてかすかに揺れる。
普段、学校で薄く笑っているその口も、今は力が抜けて小さく開いていた。
くすんだ灰色の髪はさらさらで、柔らかそう。
そっと、手を伸ばしてみる。
ほんの少しだけ。
撫でるというほどでもなく、毛先にそっと触れるだけ。
私のと全く違うその感覚が気に入って、もう一度。
今度は梳くように指を滑らせた。
細いその髪は、すぐに私の指をするすると通り抜けていく。
それを何度か繰り返していると、京がもぞ、と身動ぎした。
思わずびくりと肩が跳ね、手を止める。
けれど京は、その手に頭を擦り付けるように身を寄せてきた。
起きてはいない。
多分、無意識だ。
胸の奥でそっと息をつき、もう何度か頭を撫でてから、静かに手を引っ込めた。
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