【完結】Blackberry

21 枕飛ぶ

side一ノ瀬燐牙

「バカバカバカバカバカ!
燐牙さんの女好き!」

その日俺の部屋(梨紗の部屋でもある)ではクッションが飛んでいた。
皿では無かっただけ良しとしよう。
では無くて!

「イテテ!
分かっ…
分かったから!
梨紗、落ち着けよ!」

兵藤と銀座のキャバクラの亜美について話すのを聞かれていたらしい。
銀座のキャバクラの亜美とは、俺の女であり、俺が後ろ盾になっているキャバ嬢の事だ。

「そろそろ行かなくて良いのですか…?」と兵藤に遠慮がちに言われて思い出した。
俺にとってはその程度だったのだが、俺の女だと聞いて梨紗は怒っていた。

「ちょ、枕投げるのやめろって!
れ、冷静に話し合おう!」

こうなってはヤクザもかたなしである。

俺は土下座する勢いで梨紗に謝った。

「…何人居るんですか…?」

「えーと、そうだな…
7、8人かな…?」

俺はだいぶ少なめに言ったのだが…

「この、ヤリチン!」

梨紗は枕を俺の顔面に投げた。

「分かった、俺が愛しているのは梨紗だけだ。
その他とは縁を切るから…」

「…本当ですか?」

「もちろん!
俺に必要なのは梨紗だけなんだから…!
という訳でそろそろ一緒に寝ないか…?」

「ヤリチンとは一緒に寝たくありません!
先に精算してきてください!」

だよなぁ…
はぁぁぁあ…

俺は心の中で大きくため息をついた。

♦︎♦︎♦︎

そして、銀座のキャバクラ『ミュー』に向かったのだ。

俺はいつものようにVIPルームを指定した。
俺クラスが普通の部屋で飲んでいる事はまず無い。
ただ一つ違うのは、梨紗が付き添っていると言う事。

俺1人で片をつける、と言ったのだが、彼女は頑として聞かなかった。

という訳で連れてくるしか無かったのだ。

亜美がやってきた。
いつもの長いの髪をくるくると巻いており、編み込みの入ったハーフアップにしている。

「いらっしゃいませ〜♪
燐牙さーん、寂しかったぁ!」

そう言ってテーブルに着く亜美をまぁ可愛いと思っていたのが、遠い記憶のようだった。

今俺が心から可愛いと思うのも、愛しいと思うのも、全ては梨紗だった。

俺が別れを切り出すと、亜美は受け入れられないという表情ですがりついた。

「亜美、もう無理なんだ。
すまない、分かってくれ。
お前のバックアップは吉野という幹部に任せることにした。
引き続き応援はする。
俺じゃ無いだけだ。」

「そんな…!
いやよ!
私は燐牙さんと…!」

その後の言葉は分からなかった。

彼女は泣き崩れた。

でも、俺にはどうする事も出来ない。
俺の心を占領しているのは、たった1人だから。
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