【完結】Blackberry

29 陶芸デート

私たちは資金倉庫の危機など知らず、その日もデート実践をしていた。

デート実践では、彼氏ノートに加点・減点を記入していき、最後にその日の総得点を記入する、という社会常識レッスンの続きのようなものだ。
それがデートという形になっただけである。

その日は陶芸デートだった。
予約しておいた陶芸教室に燐牙さんの車で向かった。

「こんなボロボロの格好でいいのか?」

燐牙さんは着古したニットにナチュラルダメージのジーパンだ。
まぁ、何を着てもスタイルが良いから様になるのだが。

「良いんですよ。
陶芸ですからね。
どうせ、汚れちゃうんですから。

それよりも、燐牙さん、先生とか皆さんへの挨拶大丈夫でしょうね?」

私が念を押すと、彼は笑いながら大丈夫だよ。と答えた。

陶芸教室に着き、中に入ると初老の先生が現れた。

「先生、今回はよろしくお願い致します。」

私が挨拶すると…

「よっしゃぁ!
粘土コネまくってやるぜ!
よろしくな!
センコー!」

と、燐牙さんが言った。

はい、マイナス50点〜!!!

私は燐牙さんの耳を引っ張って席についた。

今日は、ロクロをするのだ。

燐牙さんのロクロに土が置かれて、ある程度は先生が形作ってくれる。

「よし、やったるぜ!」

「燐牙さん、頑張って!」

私は声援を送る。

「あ、あれ…
ちょ、これ、むずいな…!」

燐牙さんの土は異様な形に伸びていく。

「一ノ瀬さん、手は添えるだけですよ。
力を抜いてやってみてください。」

先生がにこやかにアドバイスする。

「わ、私も手伝います!」

燐牙さんの手に私の手が重なる。
土の感触と手の温もりを感じながら、土はゆっくりと湯呑みの形になっていった。

「や、やった!
成功だ!
だろ?
梨紗?」

「うん!」

私は燐牙さんと大喜びする。

その日は他に土で箸置きを作ったりした。

出来上がりは、来週になるらしい。

「とても、丁寧でしたね、一ノ瀬さん。」

先生が帰りがけに燐牙さんにそう声をかける。

燐牙さんは「ありがとうございます…せん…せい…」と言った。

うん、プラス100点!

こうして、少しの社会常識を身につけて陶芸デートは終わったのだった。

「梨紗、今日何点だ!?」

彼は大型犬のように私に擦り寄り聞いてくる。

「プラス50点ですね。」

私は言う。

「ふぅん?
と言う事は…」

「と言う事は???」

「キスぐらい出来るんだろ?」

「もうっ!」

とか何とか言いつつ、私たちは甘い甘いキスをした。

それが、彼氏ノートの加点に繋がったかどうかは、私のみぞ知る、って奴かな?笑

陶芸デート実践終わり♡
< 29 / 48 >

この作品をシェア

pagetop