【完結】Blackberry

7 オモチャ

「あ、ありがとうございます…!」

「まぁ、1年間は俺の…オモチャ、だ。」

「うーん…」

「そんなに喜ぶなって。」

「喜んでません!」

そんな他愛無い会話をしながら、私はカフェオレを飲み干し、一ノ瀬さんはその間に新聞に目を通していた。

ヤクザって新聞なんて読むんだ…

そうやってじっと彼を見ていると…

「ヤクザが新聞読むんだ?とか思ってんだろ。」

え、エスパー!?
心の中を読まれた!?

「顔に書いてあるんだよ。」

一ノ瀬さんはそう言って新聞を閉じた。

「最近、首総も変わって、法律もやっと動き出した。
俺たちにとって、世の中の動きを知ることはとても大事なんだよ。
生きるか死ぬかが掛かってるからな。」

一ノ瀬さんがそう言った所で、奥から小柄な男性が出てきた。
子犬のような人懐こい顔立ちに、160cmちょいの身長。
彼も深いグリーンのエプロンをしている事からこの店の、店員さん…?

「おぉ、綺羅か。」

「おはようございます、若頭。」

「おっす。」

「あれれ?
こちらの可愛い人は?」

「あぁ、俺の…ペットで、梨紗。
梨紗、あいさつしろ。
コイツは綺羅薫(きらかおる)
この店の店長さ。」

「は、初めまして!
月城梨紗(つきしろりさ)です!」

私は慌てて立ち上がる。

「よろしくぅ。
僕、綺羅薫ですぅ。
コーヒー淹れるしか能がないけどねー。」

「そ、そんな…!」

「コイツ…
こう見えても《《鉄拳の綺羅》》って呼ばれてるんだぜ?
可愛い顔に騙されんなよ。」

一ノ瀬さんが笑いながら言う。

鉄拳の綺羅…!?
な、な、なんか、怖そう…!

だけど、にこー!っと綺羅君に笑われて、こっちまで笑ってしまう。

ダメだ、可愛い!

「お前、最初に死ぬタイプだよな…」

一ノ瀬さんが哀れみの表情で私を見つめる。

「オーナー、梨紗ちゃんの事、本当に気に入ってるんだね。
僕の別名は、横取りの綺羅、とも言う…」

「おい、コイツに手ェ出したら殺すぞ…!」

「こわーい、オーナー!
冗談だよ。
兄貴分の女に手を出すのは御法度だもんね。」

よく分からないヤクザジョークが繰り広げられているらしい。

「梨紗、飲んだか?」

「え、カフェオレ?
うん、飲んだけど。」

「よし、じゃあ、行こう。
綺羅、地下一借りるぞ。」

「好きだねぇ、オーナーも。
いってらっしゃいー。」

綺羅君は呆れたようにバイバイと手を振る。

「梨紗。
こっち。
ついてこい。」

私は一ノ瀬さんに付いていく。

一ノ瀬さんはORIONの本棚を移動させた。
すると、重たそうなドアが現れた。
それをダブル解錠して、ドアを開けた。

中には下に向かう階段がある。

一ノ瀬さんに従い、階段を降りると…!
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