【完結】天才弁護士の溺愛ミステリー

47 乱れた書斎

「それは…
ありがとうございます…
心強いですわ…」

叔母さんがそう言って、私たちを書斎の前まで案内した。

警察が現場検証しているので、まだ中には入れない。

「叔父さん…は…」

言葉が出てこない。
それを見て、宇賀神先生が助け舟を出した。

「柊先生の死因はなんなのでしょうか?
殺人事件との事でしたが…?」

「えぇ…
腹部を鋭利な刃物で刺されての、出血死だそうです…」

「そうですか…」

「叔父さんは既に亡くなってたの…?」

私が尋ねると、叔母さんは静かに首を縦に振った。

無念だっただろう。
弁護士としてもまだまだ活躍していたし、老後はこの地でのんびり動物達と暮らしたい、と、そう言って居た。

そして、警察の現場検証が終わり、私たちは中に入った。

床には血がべっとりと広がっていた。
もう、乾いているが、なんだか生々しい。

殺害された時に揉めたのか、床には雑誌やペン類、将棋の駒などが散らばっていた。

叔父さんは将棋が好きだった。
将棋は事件の謎を紐解くのによく似てる、と生前言っていた気がする。

「叔父さんは犯人と揉めたのね…?」

「えぇ、そうね…
多分、必死に抵抗したんでしょう…

色んな物が散らばっていて、いつもの書斎ではないから…」

叔母さんは答えた。

「第1発見者は誰ですか?」

「え、えぇ。
牧場の管理人で、前野弘(まえのひろし)さんという方です。
前野さんは、今朝、馬の調子を報告する為に書斎に来たと言って居ました。
そしたら、返事が無くて…
鍵も開いていて、中に入ったら主人が倒れていた、と…」

「そうですか…」

「他にこの屋敷には人を雇っているのですか?」

「え、えぇ…
この通り、広い屋敷ですから…
犬小屋に1人と、猫ハウスに1人、お手伝いさんが3人…」

「なるほど…」

「全員に犯行が可能だったってこと…?」

私が眉間に皺を寄せながら尋ねると…

「えぇ、私を含めて、ね。」

叔母さんはぼんやりと窓を眺めながらそう答えた。

その後、事件現場をよく見たが、特に変わったところはなかった。

私たちは一旦帰る事にした。

♦︎♦︎♦︎

翌日、叔母さんが逮捕された…

彼女の寝室から凶器と思われる包丁が見つかり、さらに、指紋がついていた、という事だった。

私はさらにかなりのショックを受けた。

「そんな…
叔母さんが…?」

「綾乃…
大丈夫ですか…?
あなたが参ってしまっては、事件を解決するのは無理ですよ…」

「だ、大丈夫…です…
叔母さんに会いに行きましょう!
私叔母さんの弁護人になります!」

私は気持ちを切り替えてそう言った。
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