【完結】天才弁護士の溺愛ミステリー

50 強い証拠

「ちょっと待ってくださいよ!
確かに、金将には裏がありませんが、それで占いとはこじつけもいいところではありませんか!?」

傍聴席から前野さんが言う。

「その通りだ!
あのね、姫川弁護士、犯人を立証するには、《《かもしれない》》ではダメなんですよ。
《《決まっている》》という強い証拠が無くては。

確かに、その将棋の駒には血がべっとりと付いており、ダイイングメッセージ《《かも》》しれない。
でも、そうでは《《無い》》かもしれない。

ね?

わかりますか?」

検察官が言う。

「で、でも…!」

私は言うが、裁判長は検察の意見を採用した。

ここで、一旦、第1回裁判は終了となった。

♦︎♦︎♦︎

「はぁぁぁあ…
ダメですね、私って…
結局一回目の裁判では前野さんの犯行を完璧に立証する事が出来なかった…」

私は宇賀神先生の車の中でため息をついた。

「…では、諦めますか?」

宇賀神先生が言う。

「とんでもありません!
私は絶対に犯人を探し出してみせます!
今回はダメだったけど、必ず…!」

私は言った。

「それでこそ、綾乃です。
そういうアナタが、本当に好きですよ。」

宇賀神先生は前の交差点を見ながら、そう言った。

「え、あ…
はい…」

急な愛の言葉に戸惑ってしまう。

「照れてるんですか…?」

「ま、まさかっ!
ぜーんぜん!」

「可愛いく無いですよ?」

「可愛いく無くて結構です。」

「さて、意地っ張りな恋人はほっといて、警察署に向かいましょうかね。」

「え?
いまさらですか?」

「事件が行き詰まった時こそ、警察の意見も聞いてみましょう。」

そして、宇賀神先生は左にハンドルを切った。

♦︎♦︎♦︎

「これは、これは、宇賀神弁護士。
何かご用ですか?」

「えぇ、この事件の証拠品などを見せていただきたいのですが。」

宇賀神先生が言う。

「いいですよ。
こちらに保管してあります。」

吉田刑事はそう言って案内してくれた。

「これが…凶器…?」

私は刃渡の長い包丁を見る。

「えぇ、そうですよ。
まぁ、致命傷を負わせるには充分でしょうな。」

「あれ?
あれは…?」

「あぁ、あれは前野弘さんが柊氏の遺体を発見したときに着ていた洋服ですよ。
血痕がついていたので、念のために預かったんです。
前野さんは柊氏の遺体を揺り起こした時に付着したと言ってましたよ。」

「へぇ…」

そして、事件の資料をもらって警察署を後にした。

♦︎♦︎♦︎

ファミレスで、それらの資料を広げてもう一度事件を考察する私たち。

「怪しいところは無いみたいですけど…」

「まぁ、そうですね…」

賛同する宇賀神先生。

「ん…?」

「どうしたんですか?」

手を止めた宇賀神先生に私は尋ねた。
< 50 / 51 >

この作品をシェア

pagetop