レンズ越しの純情
待ち合わせ場所の駅前ロータリー。美琴は「Vivid」と書かれた小さなプラカードを手に、人混みを目で追っていた。
「二十一歳の大学生……。派手な格好なのかな。それとも……」
想像を巡らせていると、不意に視界の端で、周囲の流れがそこだけ止まっているような錯覚に陥った。
自動ドアから出てきた一人の青年。
白のオーバーサイズTシャツに黒のスラックス。驚くほどシンプルな服装なのに、彼が歩くたびに通行人が思わず振り返る。
抜けるような白い肌、少し長めの前髪から覗く涼しげな瞳。
美琴は一瞬、息をするのを忘れた。
「……あの、水口海都くん……ですか?」
声をかけると、彼は立ち止まり、ゆっくりとこちらを見下ろした。
「え? どちら様ですか?」
声は低く、どこか他人事のような響きだった。
「あ、すみません! 私は『Vivid』編集部の大久保の代理で来ました、天野美琴と言います」
「……どうも」
彼は短く応えると、それ以上何も言わずに美琴をじっと見つめた。その視線に、美琴はなんだか品定めをされているような、不思議な居心地の悪さを感じる。
「あ、車、あそこに停めてあります。行きましょうか」
「はい」
歩き出した彼の背中は、大学生とは思えないほど堂々としていた。けれど、その歩幅はどこか所在なさげで、都会の喧騒から浮いているようにも見える。
「大学生なんだっけ?」
歩きながら、美琴は沈黙を埋めるように問いかけた。
「はい。大学生です」
一言一句に無駄がない。というより、会話を広げる気が全く感じられない。
(これは……かなりの強敵かもしれない)
美琴は冷や汗を感じながら、社用車のロックを解除した。
「二十一歳の大学生……。派手な格好なのかな。それとも……」
想像を巡らせていると、不意に視界の端で、周囲の流れがそこだけ止まっているような錯覚に陥った。
自動ドアから出てきた一人の青年。
白のオーバーサイズTシャツに黒のスラックス。驚くほどシンプルな服装なのに、彼が歩くたびに通行人が思わず振り返る。
抜けるような白い肌、少し長めの前髪から覗く涼しげな瞳。
美琴は一瞬、息をするのを忘れた。
「……あの、水口海都くん……ですか?」
声をかけると、彼は立ち止まり、ゆっくりとこちらを見下ろした。
「え? どちら様ですか?」
声は低く、どこか他人事のような響きだった。
「あ、すみません! 私は『Vivid』編集部の大久保の代理で来ました、天野美琴と言います」
「……どうも」
彼は短く応えると、それ以上何も言わずに美琴をじっと見つめた。その視線に、美琴はなんだか品定めをされているような、不思議な居心地の悪さを感じる。
「あ、車、あそこに停めてあります。行きましょうか」
「はい」
歩き出した彼の背中は、大学生とは思えないほど堂々としていた。けれど、その歩幅はどこか所在なさげで、都会の喧騒から浮いているようにも見える。
「大学生なんだっけ?」
歩きながら、美琴は沈黙を埋めるように問いかけた。
「はい。大学生です」
一言一句に無駄がない。というより、会話を広げる気が全く感じられない。
(これは……かなりの強敵かもしれない)
美琴は冷や汗を感じながら、社用車のロックを解除した。