最愛の灯を吹き消す頃に。
いつの間にハンバーグを食べ終えたのか。

もしかしたら食べ終える前にお母さんに片付けられてしまったのかもしれない。

ぼーっとしたままお風呂に入って、ベッドで眠る。
あの後の夕食がどんな雰囲気だったのか憶えていない。

夢でも見ていたのだろうか。
よく分からないけれど、きっと熱でもあったのかもしれない。

だけどその一ヶ月後。
あの日バラエティに出演していた大御所俳優は、完全寛解(かんぜんかんかい)状態だった癌の再発により、闘病する予知も無いままあっけなく亡くなった。

そんなことになるなんて思ってもみなかった私はそれまでに何度も「お母さん、今日どこか怪我しなかった?」とか、
アイドルの誰々が病院に入るみたい、とかを繰り返していた。

家族は私とほんの少し、距離を置くようになった。
家族という狭いサークル内で、しかもこの世で一番の理解者であるべきサークル内での「ほんの少し」は、当時の私にとって絶望的な距離だった。
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