最愛の灯を吹き消す頃に。
「は?」

元宮契はスッと眉間に皺を作った。
絵に描いたように訝しむ表情。
そんなことを突然言われて平然と対応できる人なんて居ないに決まっている。

「いや、忘れて」

「いやいやいや、無理でしょ。どういうこと」

「冗談だよ」

「どんな冗談」

「なんかそういうのあったら面白いかなぁって、二次元的な?」

「全然意味分かんないんだけど。真中さんってそういう冗談言う…」

「元宮くん危ないっ!」

「え」

反射的に私に押された元宮契はよろけながらも勉強机に手を付いて体勢を立て直した。

どうしてこうも「偶然」が重なるのだろう。
誰かに仕組まれているみたいに。

壁を背中にして立っていた元宮契の頭上。
丸い掛け時計があった。
留め具が緩んでいたのか、元宮契を目掛けて落下してきたのだ。
心臓の灯がオレンジ色に点滅した一瞬。
嫌な予感が的中して、元宮くんを怪我から守ることができた。

できたけれど、これで私の全てが崩壊した瞬間だった。
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