最愛の灯を吹き消す頃に。
「父さん、義父のことね。父さんは優しいんだ。エマにはもちろん、俺にも」

「お母さんの前だけじゃなくて?」

「うん。母さんが居ても居なくても。酷いことをしたらチクられるんじゃないか、とかじゃなくて。あの人からはちゃんと伝わるよ。家族として俺を大事にしてくれてるんだって」

「良かった…。でもだったら…!」

「母さんのことは絶対に言わない」

「どうして」

「少なくとも父さんの前では安定していられるのなら壊す原因を俺がわざわざ作ることもないだろ。ただでさえ″またお前のせいで捨てられるだろ″って、父さんと喧嘩した時とか、何か気分を害すたびに言われるんだから。それに俺だってエマのことは可愛いしね。エマが悲しむこともできればしたくない」

諦めにも似た嘲笑を浮かべて元宮契は天井を見上げた。
ただ真っ白の、星も何も無い天井。

「だから死にたいの?」

「ただ漠然と、ずっとね」

「小さい頃から思ってたの」

「死とずっと隣り合わせににあった、みたいな感覚かな。ああ、俺死にたいんだってはっきりと自覚するっていうより、当たり前みたいずっとそばに居た。俺が居ないほうが母さんは嬉しいんだ。俺の存在が母さんを苦しめているんだ。この気持ちに一番しっくりくる感情が死だった。死にたいっていうよりも″死んだほうがいい″って感覚かな」

死とずっと隣り合わせにあった。
なんとなく、私と一緒だって思った。
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