おひさまからのラブレター
 翌朝のことです。

 おひさまは、愛しいおつき様に会えるかもしれないと、今まで以上の早起きをしました。

 彼女を想うだけで、おひさまの頬は、自然と熟した「あんず色」に染まってしまいます。

 空の窓からそっと顔をのぞかせると、ちょうどおつき様が、紺碧(こんぺき)の夜のドレスをたなびかせて帰るところでした。

 それは、寄せては返す潮が引くように、静かでどこか寂しい光景です。

「ああ、行かないで」と。叫びたい気持ちを、ぐっとこらえました。

 自分が空へ昇らなければ、森の小さな命たちは目を覚ますことができません。

 そして彼女が空を譲ってくれなければ、生き物たちは安らかな眠りにつくことができないのです。
< 13 / 18 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop