最低シンデレラ〜元カレ公爵様の唯一らしい〜
エミリーは、短く息をついた。
「使ってなくなるものがいいです。残っても捨てるのに困るので」
先を歩いていたカイの足がぴたりと止まった。彼はゆっくりとエミリーを振り返った。
「……それは、なかなか手厳しいな」
「事実、装飾品なんてもらっても質に入れるのがおちですし。服は擦り切れて埃を作るだけ。花は枯れて腐る。物は、いずれ壊れて失われる。ならば、最初から消えてなくなるものの方が潔いでしょう?」
「ああ、その通りだ。君の慧眼には恐れ入るよ」
彼はさらに何かを言いかけて、やめた。その後は珍しく黙って、先を歩くことに専念していた。
やがて、一軒の老舗紅茶店の前で立ち止まる。
「紅茶なら、飲めばなくなる。どうだろう、少佐殿?」
「よく考えましたね」
「ふふふ」
不気味に笑った彼は、すぐ店主に一言、二言、三言。包まれた茶缶を受け取った彼はエミリーにそれを差し出す。
「これで満足かね」
「……申し上げたき異議がないことは、確かです」
間違いなくエミリーの年金では手を出せない代物だった。
「せいぜい、これで紅茶入りウィスキーを淹れて差し上げますよ」
「俺は最高の部下をもった。一つ、可愛い。二つ、可愛い」
「三つ目は?」
「可愛くないところも、可愛い」
「いい上官を得たようです」
「ふふふ」
彼はまた、薄気味悪く笑うのだった。
「使ってなくなるものがいいです。残っても捨てるのに困るので」
先を歩いていたカイの足がぴたりと止まった。彼はゆっくりとエミリーを振り返った。
「……それは、なかなか手厳しいな」
「事実、装飾品なんてもらっても質に入れるのがおちですし。服は擦り切れて埃を作るだけ。花は枯れて腐る。物は、いずれ壊れて失われる。ならば、最初から消えてなくなるものの方が潔いでしょう?」
「ああ、その通りだ。君の慧眼には恐れ入るよ」
彼はさらに何かを言いかけて、やめた。その後は珍しく黙って、先を歩くことに専念していた。
やがて、一軒の老舗紅茶店の前で立ち止まる。
「紅茶なら、飲めばなくなる。どうだろう、少佐殿?」
「よく考えましたね」
「ふふふ」
不気味に笑った彼は、すぐ店主に一言、二言、三言。包まれた茶缶を受け取った彼はエミリーにそれを差し出す。
「これで満足かね」
「……申し上げたき異議がないことは、確かです」
間違いなくエミリーの年金では手を出せない代物だった。
「せいぜい、これで紅茶入りウィスキーを淹れて差し上げますよ」
「俺は最高の部下をもった。一つ、可愛い。二つ、可愛い」
「三つ目は?」
「可愛くないところも、可愛い」
「いい上官を得たようです」
「ふふふ」
彼はまた、薄気味悪く笑うのだった。