雨音が響く星空の下で

疼く感情

「ほんとに行くの?上」

「…うん、だって……」


そういって右耳あたりのバレッタに触れるとそらちゃんは軽くため息をついた。

数日前、橘先輩が帰り際に残していった言葉。


「……お返し…」


アレからずっと考えていた。
何をお返しすればいいのかと。


少しずつ時間が経つにつれ、『やっぱりお返しなんてしなくて良いのかな』『冗談だったのかも』と悪魔が囁くようになったけれど



でも私の大切なバレッタを届けてくれたんだもん。



やっぱり感謝してるし、なにかお礼はしないといけないよね。



そう思って、実は昨日の夜クッキーを作った。


お菓子作り自体、趣味でよくするから全く苦では無かったし、なんだか作りたい気分だったから丁度良かった。



男の人って甘いもの苦手かもしれないとも思ったけど、きっとあの優しそうな橘先輩ならそれでも受け取ってくれる、よね?



とはいえ問題なのは橘先輩がいる3階に行くことだった。

1階は1年生、2階は2年生、3階は3年生が使っており、移動教室は大体別棟に移動するから3年生の教室があるメインフロアには入ったことがない。


たまに2年生のフロアに他学年の人が来たりするけど、それはそれは注目を浴びている様子だった。


そりゃそうだよ、普段は見慣れない人がいるんだもん。

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