溺愛センパイと雨空の下で。
「もう放課後だけど、何してたの?」

すごく落ち着く先輩の声に、少しずつ心臓の音が静かになっていく。先輩はいつの間にか私の前の席に座っていて、興味津々に話をしてきた。


「この通り日誌書いてました」
「へー真面目なんだね?」
「そうなんですかね」
「ふふ、きっとそうだよ」


何の変哲もない会話なのに目の前にいる先輩は凄く楽しそうに話をしてくれる。

あまり男の人と話をするのは得意ではない。
だけどこの先輩が纏う優しい朗らかな雰囲気が私を自然体にしてくれる。


「そのヘアピン?はお気に入りなの?」
「…そうです。友達から誕生日プレゼントに貰ったものでお気に入りなんです。」


先輩が拾ってくれたバレッタは運良く傷一つつかずに綺麗な状態で帰ってきた。いつも通り右耳の上につけると、なんだかいつもの感触に安心する。



それからは無言で日誌を書き続け、終わった頃にはやはり予想通り30分近く経っていた。

「そういえば…先輩、どうしてこのバレッタ、私のだって分かったんですか?それに私の名前も…。」

そういうと目の前にいた先輩は目を見開いた。

< 8 / 21 >

この作品をシェア

pagetop