娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「私、蓮斗さんには私よりもお見合い相手の人の方がふさわしくて、私といるより幸せになれると思ったんです」

お見合いの相手は大病院の院長の娘。

頼れる家族もいない自分には太刀打ちできないほどの、蓮斗をバックアップし幸せにできる力がある。そう思い込んでいた。

「だから蓮斗さんのお父さんの話をまともに受け止めてしまって」

「俺は杏奈がいれば幸せだったし、それ以外なにも望んでなかった」

広いリビングに、蓮斗のくぐもった声が響いた。

「私も……。私も蓮斗さんと一緒にいるだけで、それだけでよかった」

蓮斗がなにより大切で、心の底から愛していた。

だからこそ蓮斗の幸せを願って別れを決めた。

けれどそれは、結果的に蓮斗を苦しめただけの、独りよがりで的外れな決断だった。

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