娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
つい蓮斗の名前を口に出してしまい、慌てて言葉を飲み込んだ。

蓮斗が園長と並んで園児たちを見守っていたのだ。

ブラックジーンズにグレーのパーカーというラフなスタイル。

行事のたび園長である母親から手伝いを頼まれるらしく、今日ももともと顔を出す予定だったそうだ。

偶然とはいえ朱音の初めての運動会に立ち会えることを、ひどく喜んでいた。

おまけに今日は朱音の四歳の誕生日だ。

運動会の後三人で食事をすることになっていて、杏奈は今から緊張している。

蓮斗の前から姿を消した事情を打ち明け謝罪したとはいえ、まだ遠慮はある。

距離感がつかめずどう近づいていいのかわからないのだ。

それでも蓮斗に会えると思うとうれしくて、久しぶりに自分のために新しい服を買い、普段より丁寧に髪を整えた。

蓮斗は変わらず朱音たちを一心に見つめている。

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