娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
杏奈は落ち着かない気持ちでリビングのローテーブルにコーヒーを置いた。

まさか蓮斗を自宅に招く日がくるとは夢にも思わなかった。

今もこれが現実なのかどうか、よくわからない。

おまけに1LDKの室内には、朱音の玩具や絵本が無造作に置かれていて片づいているようには見えない。

というより散らかっていると言った方が正確だ。

せめて朝食の時に使った食器だけでも片づけておけばよかったと後悔ばかり。

運動会に間に合うように、食器や食べかけのパンもテーブルの上に残したまま急いで出かけたのだ。

こことは比べものにならないほど広く、そしてセンスよく整えられていた蓮斗の自宅を思い出して、恥ずかしくなる。

「散らかっていて、ごめんなさい。あの、コーヒー、どうぞ」

手早くローテーブルの上を片づけながら、杏奈は蓮斗に声をかけた。

「ありがとう」

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