娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「ん? 朱音ちゃん、今笑ったよな?」

「笑った?」

見ると蓮斗は腰を折り、車の外から朱音の寝顔を愛おしげに見つめている。

瞬きする時間すらもったいないとでもいうように熱心に見つめている蓮斗の顔立ちは、本当に朱音とよく似ている。

小顔で顎の形が綺麗なところはとくにそっくりで、ふたりは間違いなく親子だと、誰の目にも明らかだ。

「早く部屋で寝かせてあげた方がよくないか?」

「そうですね。じゃあ、お願いします」

申し訳ないが、ここは蓮斗にお願いするしかなさそうだ。

すると蓮斗は目を輝かせ、杏奈たちの荷物を素早く手に取った。

『あ、あの。よかったら、コーヒーでもどうですか』

玄関まで荷物を運んでくれた蓮斗をそのまま帰してしまうのが申し訳なくて、そしてそれ以上に蓮斗と一緒にいたいという気持ちに逆らえなくて、気づけば玄関先で声をかけていた。

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