娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
結局一度も顔を合わせる機会はなかったが、当時の蓮斗は母親のことを「子どもたちのために時間も体力もめいっぱい捧げる熱血先生」だと、苦笑交じりに言っていた。

とはいえ言葉の端々には母親への尊敬の気持ちが滲んでいて、母を大切に思う蓮斗の気持ちが伝わってきた。

「それが今は園長先生なんですね」

それも朱音が通う幼稚園の園長だ。

奇跡的な縁には驚かずにはいられない。

「あの幼稚園のオーナーが、母が離婚の時にお世話になった弁護士の親戚なんだ。もともとの園長が引退することになって、急遽母に白羽の矢がたったらしい。ちょうど仕事を退職してのんびりするのにも飽きていたんだろうな。ふたつ返事で引き受けたって聞いて、俺の方がびっくりした」

蓮斗は当時を思い出して、肩を揺らして笑う。

「家でじっとしているタイプじゃないし子どもが好きだから、結果的には母にとってもいい話だったけど」

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