娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
背中から伝わる蓮斗の熱と重みに緊張して、うまく言葉が出てこない。

「仕事とか俺以外のことで一生懸命になる杏奈。目が離せなかった……だけど妬けた」

「妬けた……?」

 いったいなんの話をしているのだろう。

「そう。妬けた。それも相手は自分の娘。おかしいよな」

クックと笑う蓮斗にさらに強く抱きしめられて、杏奈は目を見開いた。

すると蓮斗は杏奈の肩にこつんと額を乗せ、はあっと息を吐き出した。

「好きだ」

吐息とともに鼓膜を震わせた言葉に、杏奈は息を止めた。

「今も、杏奈のことが好きなんだ。思い出さない日はなかった」

杏奈の肩に、蓮斗は絞り出すような声でつぶやいた。

同時に杏奈の胸の前で組んでいた手に力がこもり、ぐいっと引き寄せられた。

「あ、あっ」

途端にバランスを崩してしまい、杏奈は蓮斗の胸の中に勢いよく倒れ込み、気づけばふたりの体はラグの上に転がっていた。

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