娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
それは、かけっこの時に一等賞を目指して全力で走る朱音を、声を上げて応援している杏奈の写真だ。

額に汗を浮かべ、必死の形相で応援している。

「恥ずかしい」

あっという間に頬が熱くなる。

応援に熱が入りすぎた自覚はあったが、ここまで必死だったとは思わなかった。

あの時は懸命に走る朱音以外なにも目に入らなくて、周囲の音も聞こえなかった。

朱音の奮闘する姿が愛おしくて、がんばれと声をあげ続けていた。

「杏奈のこんな顔、初めて見た」

蓮斗は杏奈を背中から抱きすくめ、スマホをローテーブルに置いた。

「いつも優しくて、穏やかで。大声をあげることなんてなかったのに、杏奈がこれだけ必死になるって、知らなかった」

肩に蓮斗の吐息が触れて、杏奈の全身がぶるりと震えた。

「わ、私もここまで必死になってたこと、は、初めて知りました」

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