娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「前職を活かしていったんは法務部に置いたが、長すぎたな。お前のことは社内に受け入れられたようだし、いい頃合いだ。月末の株主総会が終わってから、具体的に進めよう」

「それはまあ、ご自由に。ただ、うちの部長と調整はしてくださいよ。新薬の承認がらみで部長も俺も正直それどころじゃないんですけど」

淡々と語る蓮斗に、父はぐっと声を詰まらせる。

「まあ、たしかにそっちも重要でお前が抜けると困ることもあるだろうが。俺がお前の代わりに誰か――」

「誰かって、誰です? 法律関係で俺以上に動ける社員に心当たりでも?」

父は困り顔で蓮斗を見やる。

「焦らないでください。いずれ経営企画に移る心づもりはできていますから。それより今は新薬の承認に向けて効率よく動く方が現実的だと思いますが?」

「それはわかっているが」

父は言葉を詰まらせ、蓮斗をもの言いたげに見つめている。

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