娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
蓮斗はにっこり笑い、ソファに腰を下ろした。

蓮斗が入社した当時、社長の息子とはいえ製薬業界について無知な蓮斗に後継者として人の命を預かる仕事ができるのかと、社員たちは一様に驚いただけでなく軽い拒否反応を示した。

ただ、配属されたのが弁護士のキャリアを生かした法務部だったのがよかったのか、人当たりのよさがよかったのか。

すぐに法務部内や顧問弁護士たちとの間で信頼関係を築くことができ、そこからは父に負けない熱意ある仕事ぶりが認められ始めた。

今では部内きってのやり手、且つあらゆる場面で会社にとって有利に交渉を進める切れ者として、一目置かれるようにもなった。

今どき世襲など時代遅れだという声があるのはたしかだが、その声はほんのわずか。

もともと社長に息子がいるなど知らなかった社員たちにとって、蓮斗は単なる新参者。

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