娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません

よくあることで杏奈は慣れているが、初めてのことに混乱し体調不良だと誤解した蓮斗は、とっさに救急車を呼ぼうとしていた。

「それにしても、俺ってまだまだだな。朱音ちゃんのこと、知らないことだらけだ……」

ポツリとそう口にした蓮斗に、杏奈は心の中で「ごめんなさい」とつぶやいた。

本当なら、蓮斗は朱音が生まれた時から彼女の成長を見守ることができたはずだ。

けれど杏奈の一方的な判断でその権利を奪ってしまった。

今も自分の過去の行動には後悔ばかりだが、そのことを杏奈が謝罪することなど蓮斗は望んでいない。

それこそ、最近のふたりの合言葉ともいえる〝今さら〟だからだ。

朱音の存在を知らされずにいた四年間を埋めようと一生懸命な蓮斗には、謝罪の言葉よりも日々更新される朱音の成長ぶりを伝えた方が、よっぽど喜んでもらえる。

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