娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
心配する顔も、ホッとして笑い合う表情も、ふたりはそっくりだ。

思えば朱音が運動会の練習で足を痛めなければ、こうして蓮斗と再会することも、朱音と蓮斗が親子として過ごすこともなかったはずだ。

「じゃ、じゃあ、ハンバーグを食べに行こうか。朱音は縄跳びをリュックにしまってね」

杏奈は荷物をまとめながら、目尻に浮かんでいるに違いない涙をこっそり拭った。

今こうして三人でいることは奇跡でしかない。なにかひとつでもタイミングが合わなければ、幼稚園で蓮斗と再会することはなかったのだ。

そう考えると、今三人で笑い合っている時間がひどく愛おしく、大切なものに思えてくる。

そして、今この瞬間が人生で一番幸せだと、胸がいっぱいになる。

もちろん、この先今以上に三人で幸せになるつもりだ。

「いつものおいしいハンバーグだけど、いつもとは違う『ひかり食堂』で食べようね」

< 186 / 249 >

この作品をシェア

pagetop