娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「だって。蓮斗さんが私以外の誰とも結婚しないって言ってくれた時、飛び上がりそうになるほどうれしかったんです」

それは、杏奈の思い込みを一瞬で解き放った瞬間だった。

今まで手放せなかった蓮斗への申し訳なさや罪悪感。

それがすべて消えたわけではないが、自分の気持ちに素直になれた瞬間でもあった。

自分の欲しいものにとことん素直で、パンケーキを半分こではなくひとりで食べたいと主張した朱音。

そんな朱音の素直さが、杏奈の心に響いたのかもしれない。

「蓮斗さん」

杏奈は込み上げてくる気持ちを我慢できず、蓮斗の首に勢いよくしがみついた。

「結婚してください」

本当なら、朱音がお腹にいるとわかったあの日に言うつもりだった。

けれど間違った決断をしたせいで、今ようやく、蓮斗に伝えることができた。

申し訳なさや謝罪の気持ちが一生心の中に残ったままだとしても、蓮斗のことをあきらめたくない。

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