娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
父親の態度が気に入らないのか、蓮斗は父との距離を詰め、くってかかるようにそう言った。

「杏奈が俺以外の男の子どもを産むなんてあり得ない。冗談はやめてくれ」

「蓮斗さん……」

人が変わったような荒い言葉使い。

蓮斗が本気で怒っているのがわかる。

「よし。朱音ちゃんだな。かわいらしい名前だな」

「あの?」

突然声音が変わった蓮斗の父を、杏奈はまじまじと見つめた。

声だけでなく表情も和らいでいて、蓮斗の背後にいる朱音をチラチラと気にしている。

するとそれまで珍しくおとなしくしていた朱音が、蓮斗の腰の辺りからひょいと顔を出した。

「朱音って呼んだ?」

へヘッと笑いながら現われた朱音は、蓮斗の父と弥生に気づくとトコトコとふたりの前に近づいた。

「朱音っ」

慌てて杏奈が声をかけるも完全に無視。初めて顔を合わせるふたりに興味津々、大きな目でじっと眺めている。

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