娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
なにより会社を優先している父にとって、自分のことは後回し。

健康にはそれなりに気をつけているようだが、最終的には自身の体よりも会社。

今も株主総会の後で倒れた自分を「よくやった」とでも思っているはずだ。

仕事に対するこの辺りのぶれない姿勢が、父を完全に嫌いになれない一番の理由かも知れない。

蓮斗は手入れが行き届いた中庭の芝生をぼんやり眺めながら、肩をすくめた。

「退院はいつ頃になりそうなんですか?」

「検査結果が出そろうまでわからん。どこも痛くもないし気分もいい。なのにあの医者があれやこれや理由をつけて引き留めるんだ」

「あれやこれや、合併症の心配があるからでしょ。仮にも製薬会社の社長なら、それくらい理解してください。それとも理解しているけど自分に限ってとか思ってませんか?」

蓮斗の父は高血圧によるひどい目眩に襲われて倒れ、駒田総合病院に搬送された。

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