娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
蓮斗は決意が滲む力強い声でそう告げると、名残惜しそうに杏奈を見つめて幼稚園を後にした。

「蓮斗さん……」

いったいなにが起きたのだろう。

一生会わないと覚悟して離れたのに、まさかここで再会するとは思わなかった。

「ママ?」

「なんでもないよ」

きょとんとしている朱音に笑顔を返しながら、杏奈は蓮斗が消えた廊下をぼんやりと見つめた。




「来月からのフェアのメニューが届いたから、あとで確認してもらえる?」

「わかりました」

杏奈は目を通していた書類から顔を上げ、店長に答えた。

昼休憩に入り、まかないを早々に食べ終えてから、幼稚園から渡された書類に記入していたのだ。

運動会の練習中にケガをした朱音の、保険の請求書類だ。

入園時に言われるがまま入った保険だが、こんなに早く役立つとは思わなかった。

とはいえ卒園まで利用せずに済むのなら、それに越したことはないのだが。

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