娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
そんな杏奈の企画が採用され、いよいよ来月からフェアが始まるのだ。

この半年は本社とセントラルキッチンに出向く機会が多く、加えて朱音の入園準備も重なって忙しかった。寝る間も惜しんでというのはこのことだと日々実感していた。

「これでもう、ひかり食堂を辞められないわね」

「……ですね」

迷いなくうなずけるのは、今回のことでこの仕事が大好きだと、改めて自分の気持ちを確認できたからだ。

管理栄養士を目指したのは食事を義務としか思えなかった子どもの頃の切なさを上書きしたかったからだが、それもすでに完了済み。

食事を義務ではなく人生を彩る楽しみとして考えられるようになったことで、寂しさしかなかった子ども時代を乗り越えられたような気もしている。

おまけに自分の企画が全国の店舗で採用され、お客様に楽しんでもらえるかもしれないのだ。

そう考えるだけで心が躍り、ワクワクしている。

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