娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
フェアが始まるのは来月からで、まだ始まっていないというのに、すでに次の公募に向けて新しい企画を練り始めているほどだ。

「まだまだがんばります」

次のフェアはクリスマス。

ターキーをメニューの核にして、温かな時間を提供したい。

「茅島さん、いいですか?」

その時、アルバイトの女性が休憩室に顔を覗かせた。

「うん、大丈夫。なにかあった?」

ホールでトラブルでもあったのかと、慌てて立ち上がる。

「いえ、そういうわけじゃないんですけど……」

続く意味深な口ぶりに、杏奈は店長と顔を見合わせた。

「茅島さんを呼んでもらえないかって、男性のお客様が来られていて」

「男性?」

「はい。あ、名刺を預かりました。仕立てがいいスーツを着ていて、妙なクレームとかそういう雰囲気でもなかったんですけど……知り合いの方ですか?」

受け取った名刺には『安西製薬』経営企画部課長・塩崎蓮斗とある。
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