娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
もしも再会することがあれば、怒りをぶつけられ理由を追及されるはずだと予想していた。

けれど、今の蓮斗にそんな素振りはなく、ただ杏奈を優しく見つめ、再会できた喜びをかみしめているようだ。

「……よかった。ホッとした。あれから……心配しない日はなかったんだ」

蓮斗は声を絞り出しそう言うと、目を閉じ何度もうなずいた。

「蓮斗さん……」

やはり心配をかけていた。落ち着いて見えるのも杏奈を気遣っているからに違いない。

「この間はようやく見つけたっていうのに仕事で呼び出されて話もできなかったし。だから会いに来たんだ」

蓮斗は気を取り直したように軽い口調で言葉を続けた。

「仕事なら仕方がないですから。それで、あの……仕事って、今はなにを?」

さっき受け取った名刺には、誰もが知る製薬会社の名前が書いてあった。

弁護士の仕事から離れて父親の会社に入ったようだ。

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