娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
となると、父親が決めたというあの女性と結婚したはずだ。

左手に指輪はないが、はめない人は一定数いる。蓮斗もそのタイプなのだろう。

「俺は、あれから弁護士を辞めて父親の会社に入った。四年近く経ってもまだまだ修行中って感じだな。それより……朱音ちゃんだったよな」

「……え」

いきなり核心を突く言葉に、杏奈は息をのんだ。

「さっき幼稚園で会ったけど、ケガの具合も心配ないみたいで安心した」

「すぐに病院に連れて行ってもらったのがよかったみたいで、今は全然」

蓮斗が朱音のことをどこまで察しているのかわからず、杏奈は視線を泳がせた。

「子どもって直りが早くてうらやましいよ」

「それはたしかに……。あの、幼稚園にはよく行くんですか?」

朱音がつばき幼稚園に通っている限りふたりが顔を合わせる可能性があることは承知し覚悟もしていたが、まさかこんなに早いタイミングでとは思わなかった。

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