娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「おはよう」

「……おはようございます。あの、朝早くからすみません。昨日のことなんですけど」

「うん。俺も話したいって思ってた」
 
意外に落ち着いている杏奈の声に、とりあえず昨日なにもなかったのだとホッとする。

蓮斗は実行委員に与えられている空き教室で、杏奈の事情を聞くことにした。

「昨日は驚きましたよね。すみません」

教室に入るなり頭を下げた杏奈から聞かされたのは、家の経済的な理由で入学と同時に学校に許可をもらってアルバイトをしているという話だった。

「本当なら私立に通えるような家庭じゃないんです。でも特待生に選ばれて学費が免除されたので、奇跡的に入学できたんです」

言いづらい話に違いないのに、やはり真面目だ。

学校から許可されているならそれでいいと伝えても、律儀に説明を続けている。

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