娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
それは十四年経った今もハッキリと覚えている、最高に幸せな言葉だった。

あの日から十年、永遠に続いてほしい、続くはずだと信じて疑わなかった杏奈との愛情溢れる極上の日々。

目標にしていた弁護士になり、杏奈との結婚を具体的に考えていた。

けれど。

『九州のお店に転勤になったの。いい機会だからお別れしたい』

いい機会とはどういう意味なのか。

いったいなにを言い出したのかさっぱり理解できない中、杏奈は姿を消した。

引っ越し先や異動先も知らされず、完全に行方知れずになってしまったのだ。

それまで勤務していた店で転勤先を尋ねても、個人情報は伝えられないと断られ、居場所を突き止められないまま気づけば四年が経っていた。

その間、九州に八店舗あるひかり食堂すべてを訪ねたが、結局杏奈を見つけ出すことはできなかった。

転勤というのは嘘で、とにかく蓮斗と別れたかっただけなのかもしれない。

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