娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「妊娠する前はそれほど食べなかったフライドポテトも食べたくて仕方がなくて。おまけに眠くてたまらなくて、毎日家に帰ったらすぐにベッドの中でした」

つわりはそれほどひどくなかったが、食の好みの変化と眠気はかなりのものだった。

仕事でも料理を間違ったテーブルに運んだり、食器を落として割ってしまったりと、店に迷惑をかけることも少なくなかった。

異動したばかりで慣れない初めての土地。

妊娠生活は、覚悟していた以上に苦しくて、不安ばかりだった。

「でも、それは妊娠が理由でホルモンのバランスが崩れたせいで、しばらくしたら――」

「杏奈、悪い、ちょっと待ってくれ」

蓮斗は焦った声をあげた。

それも当然の反応だ。

この間店に現われた蓮斗と話した時、杏奈は最後の最後で朱音が蓮斗の子どもだと認めたが、初めは答えようとしなかったのだ。

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