こもれび日和
歩が障子にそっと耳を寄せた。
直も並んで座る。

中では、大人たちの低い声が交差していた。



誰よりも先に聞こえたのは、
律の父・実の落ち着いた声だった。

「……律、よくここまで頑張ったな。
家族を持つってのは、簡単じゃないだろう」

律の少し照れくさそうな声が返る。

「うん……正直、不安なこともいっぱいだよ。
でも、蘭がそばにいてくれて、歩と直が笑っていてくれて……
それで十分なんだ」

蘭の柔らかい声が続く。

「ヒバリ村、あったかいですね。
みんなと話してると……あ、家族ってこんな感じなんだって思えて」

すると、聡恵がふっと笑ったような声を出した。

「蘭さん。
私たちも、あなたが来てくれて嬉しいのよ。
歩くんと直くんも……ほんとにかわいいわ」

静かに熱がこもる空気。

直は歩の袖をぎゅっとつまんだ。
歩は、なんだか胸がむずむずして黙った。
< 103 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop