こもれび日和
今度は、写真家の奏の声。

「俺、あの子たちの写真撮ってて思ったんだよ。
あの笑顔、ずっと守ってあげたいなって」

純も笑いながら言う。

「俺もだよ。
今度キッチンカーの新作できたら、真っ先に食べさせたいしな」

実が照れくさく咳払いをする。

「……ま、要するにだな。
うちはいつでも、お前たちを歓迎するってことだ」

その言葉に、蘭のとても静かな声が続いた。

「……ありがとうございます。
これからも、よろしくお願いします」

その声は、聞いている歩と直の胸にも
じんわりひびくような優しさがあった。



しばらくして、話の声が少し落ち着いたころ。

直が、こっそり囁いた。

「ぼくたち、みんなにすきって言ってもらえてるね」

歩はちょっとだけ照れながらうなずいた。

「……うん。なんか、あったかかった」

ふたりは障子に向かって、小さくぺこりと頭を下げた。
理由はよくわからないけど、そうしたくなった。



二人は静かに廊下を歩き、
律たちに気づかれないよう布団へ戻った。

布団に潜り込むと、
歩が小さく呟く。

「……また、ヒバリ村きたいな」

直も眠そうな声で答えた。

「うん……つぎはおひるにトイレいこ……」

歩は思わず吹き出した。

虫の声と、遠くの川の音に包まれて、
ふたりは安心したように眠りについた。

お盆の帰省は、
春夏秋冬家にとってあたたかい思い出を
しっかりと刻む時間となった。
< 104 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop