こもれび日和

育つということ

その日の午後、春夏秋冬家は静かだった。
蘭と律は村の集会所へ打ち合わせに出かけ、
家には歩と直の兄弟だけ。

歩は折り紙でヒーローのマスクを折り、
直はお絵かき帳に“おにぎりの妖精”の絵を描いていた。

そのとき――

ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴った。

「……だれ?」
歩が直を見る。

「ぼくたちだけの時は、開けちゃダメって言われてるよ……」
直が小声で言ったが、
玄関の向こうから聞こえる陽気な声に、
2人は顔を見合わせた。

「こんにちは〜!お台所がもっと楽しくなる
“キッチンマジックセット”はいかがですか〜!」

声があまりに明るすぎる。

歩と直は、おそるおそる玄関の扉を少しだけ開けてみた。
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