こもれび日和
そこへ――
外から足音。

「ただいまー……って、えっ!?」

蘭と律が帰ってくると、
玄関前でスパイスの瓶を舞わせている男がいた。

「あ!おかあさん!この人、すごいんだよ!」
「手品でフライパン出した!」

歩と直が大興奮で説明するが、
蘭は男の顔を見た瞬間、固まった。

数秒、静寂。

そして――

「……龍!?なんでアンタがここにいんの!!」

男はパッと笑顔になり、
帽子を脱いで深々とお辞儀をした。

「やぁ姉ちゃん、久しぶり〜!」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
歩と直が同時に叫ぶ。


男の正体は
蘭の弟・龍。

世界中をふらふら旅しながら、
珍しい調理器具を売ったり、
料理ショーをしたりしている自由人。

「久々に姉ちゃんの顔が見たくてさ〜。
だけど普通に来るのも面白くないから、
訪問販売のふりして来たんだよ!」

「面白くないからって……!」
蘭が頭を抱える。

律は苦笑しながら、
「まあまあ……歩と直が楽しそうだし」と仲裁する。

歩と直はまだ大興奮。

「おじちゃん、手品もう一回やって!!」
「料理の魔法も見たい!」

龍はニッと笑って親指を立てた。

「もちろん!今日は特別に、
“キッチンマジックショー in 春夏秋冬家”
を開演しちゃうよ!」


夕食前、龍は得意の料理手品で
スパイスの香るチキンソテーを作ってくれた。
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